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Borderlandsシリーズ徹底解説:爆発的人気と進化の軌跡

Borderlandsシリーズは、ルートシューターとRPGの融合、独自のユーモア、コミック調グラフィックで世界中のファンを魅了し続けています。本記事では、1作目から最新作Borderlands 4までの進化、各作品の特徴、シリーズの魅力や影響力を徹底解説。スピンオフやファンタジー路線の挑戦も網羅し、これからプレイする人にもベテランにも役立つ内容をまとめました。

2025年11月7日
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Borderlandsシリーズ徹底解説:爆発的人気と進化の軌跡

Borderlandsシリーズは、ルートシューターというジャンルの進化とユーモアの融合を象徴する、ギアボックス・ソフトウェアによって開発されたアクションRPGの名作です。2009年の初代作から、ダイナミックな一人称シューターにRPG要素を組み合わせた独自のゲーム性で、多くのファンを魅了してきました。ルートシューターの定番となった本シリーズは、過激で風刺的、そして時にブラックなジョークと、コミック調のセルシェーディング・グラフィックで強い個性を放っています。リアル志向のミリタリー系が主流だった時代に、Borderlandsは鮮やかなビジュアルとユーモアで際立ちました。

Borderlands 3(2019年)のカバーアートは、シリーズ独自の明るくコミカルなビジュアルとユーモアを象徴

Borderlands 3(2019年)のカバーは、コミック調ビジュアルとナンセンスなジョークというシリーズの伝統を体現しています。全作を通じてセルシェーディングの美学が貫かれ、さまざまなジャンルや大衆文化のクリシェをパロディ化しています。

15年以上の歴史を持つBorderlandsシリーズは、実験的なシューターRPGのハイブリッドから、世界的に認知されたフランチャイズへと成長しました。本編やスピンオフ作品を通じて、ポストアポカリプスな惑星パンドラから新たな惑星、さらにはファンタジー世界まで、舞台を拡大。すべての作品でシリーズらしいユーモアと、まるでコミックが動き出したようなスタイリッシュなグラフィックが守られています。以下に、主要なタイトルの概要を表でまとめます。

タイトル発売年開発主なストーリービジュアル
Borderlands2009Gearbox Softwareパンドラでエイリアンの「ヴォルト」を探す冒険セルシェーディング、ポストアポカリプスSFコミック風
Borderlands 22012Gearbox Softwareヴォルトハンターたちが独裁者ハンサム・ジャックに挑むセルシェーディング、多彩なバイオーム
Borderlands: The Pre-Sequel20142K Australia, Gearboxハンサム・ジャック誕生の前日譚、月エルピスでの戦いセルシェーディング、SF的な月面世界
Tales from the Borderlands2014-2015Telltale Gamesリースとフィオナの冒険(ストーリー重視のスピンオフ)Telltale流のグラフィック+Borderlandsのテイスト
Borderlands 32019Gearbox Softwareカリプソ双子率いるカルトと戦う新たな冒険セルシェーディング、新惑星と広大なマップ
Tiny Tina's Wonderlands2022Gearbox SoftwareTiny Tinaが仕切るファンタジーRPGの冒険セルシェーディング、ファンタジーパロディ
Borderlands 42025Gearbox Software新惑星カイロスでの独裁者への反乱セルシェーディング、ハイテク×コミック調

Borderlands(2009)― 伝説の始まり

初代Borderlands(2009)のアートワーク。コミック調でポストアポカリプス感が際立つ

シリーズの幕開けとなった『Borderlands』(2009)は、当時として新鮮なジャンルミックスで話題を呼びました。舞台は荒廃した惑星パンドラ。4人のヴォルトハンターが謎のエイリアンの金庫(ヴォルト)を求めて旅立つというシンプルなストーリーですが、独自のグラフィックと雰囲気で一躍注目を集めました。開発途中でリアル寄りのグラフィックから手描き感のあるセルシェーディングへと大転換し、太いアウトラインとコミック的な彩色がゲームの世界観を強烈に印象付けました。ユーモアも物語に深みを与え、個性豊かなキャラクター(おしゃべりロボ「クラップトラップ」など)や狂気じみた敵たちがルート探索の単調さを和らげます。協力プレイ、膨大な武器、グロテスクなギャグという「Borderlandsらしさ」はこの時すでに確立されていました。

Borderlands 2(2012)― 大ヒットとカリスマ

Borderlands 2(2012)のアートワーク。多彩なバイオームと新キャラクターたち

続編『Borderlands 2』(2012)は、シリーズの成功を確固たるものにしました。前作同様パンドラが舞台ですが、物語は大幅に進化。最大の特徴は、ハンサム・ジャックというカリスマ的な悪役の登場。彼は前作ヒーローの功績を横取りし、独裁体制を敷くHyperion社のトップです。新たなヴォルトハンターたちはレジスタンスに加わり、ジャック打倒を目指します。ストーリーは前作よりも遥かにボリュームアップし、個性的な登場人物や意外な展開が満載です。

また、ユーモアや作風も進化。リードライターのアンソニー・バーチ率いる脚本チームは、ギャグや台詞、あらゆる場面を緻密に磨き上げました。あらゆる部分にパロディやメタジョークが仕込まれ、悪役ジャックのウィットに富んだモノローグが物語にスパイスを加えます。グラフィックもコミック調を維持しつつ、雪原・湿地・ハイテク都市など多彩なマップが登場。DLC(例:Tiny Tina's Assault on Dragon Keep)も豊富で、シリーズ屈指の名作と評価されています。

スピンオフと前日譚(2014-2015):The Pre-Sequel & Tales from the Borderlands

BL2の大成功後、次作までのインターバルを埋めたのが『Borderlands: The Pre-Sequel』(2014)と『Tales from the Borderlands』(2014-2015)です。どちらもシリーズの世界観拡張と、ファン層の維持に大きく貢献しました。

Borderlands: The Pre-Sequel(2014)

The Pre-Sequel(2014)の月面エルピスとキャラクターたち

本作は、1作目と2作目の間を描く前日譚。2K Australiaが開発し、舞台はパンドラの月衛星エルピスとHyperionの宇宙基地ヘリオス。まだ独裁者になる前の若きジャックと新たなキャラクター(アシーナ、ニシア、ヴィルヘルム、ミニロボ・クラップトラップ)が、敵勢力との戦いに挑みます。月面特有の低重力ジャンプや酸素管理、新たな武器(レーザー、氷属性)がゲーム性に新風を吹き込みました。ストーリー面では、ジャックの転落やキャラの背景などファン必見の内容。オーストラリア色の強いジョークも話題になりました。

Tales from the Borderlands(2014-2015)

Tales from the Borderlands(2014-2015)の主人公リースとフィオナ

Telltale Gamesが手掛けたエピソディックアドベンチャー。BL2後のパンドラを舞台に、Hyperionの若手リースと詐欺師フィオナの凸凹コンビが、偽のヴォルトキーをめぐって騒動に巻き込まれます。選択肢による物語分岐やインタラクティブな演出、シリーズおなじみのユーモアとドラマが融合。ファンや批評家から「シリーズ最も心に残るストーリー」と高評価を得ました。Telltaleの倒産後も、今なお語り継がれる名作です。

Borderlands 3(2019)― スケール拡大と賛否両論

Borderlands 3(2019)のゲーム内アート。新たな惑星や多様なロケーション

7年ぶりのナンバリング新作となった『Borderlands 3』(2019)は、シリーズ史上最大規模のボリュームで登場。初めてパンドラを飛び出し、複数の惑星(プロメティア、エデン-6、ネクロタフェオなど)を冒険。宇宙船「サンクチュアリIII」を拠点に、探索やサブクエストがより自由度高く楽しめます。Unreal Engine 4によりグラフィックも大幅進化。

物語は「レッドレイダーズ」と新たな敵「カリプソ双子」との戦いが中心。彼らはストリーマー文化を風刺したカルト教団のリーダーで、賛否両論のキャラクターでした。前作のハンサム・ジャックに比べ、双子の動機や個性が弱いと感じるプレイヤーも。一方、ゲームプレイ面はさらに進化。多彩な武器、カスタマイズ、協力プレイの充実で、ルートシューターの魅力を現代風に再構築しました。DLCでは今後のシリーズ展開を示唆するストーリーも加わり、フランチャイズの地位を強固にしました。

Tiny Tina's Wonderlands(2022)― ファンタジーへの大胆な挑戦

Tiny Tina's Wonderlands(2022)のファンタジーな世界観

2022年には、人気DLCから派生したスピンオフ『Tiny Tina's Wonderlands』が登場。シリーズ初の本格ファンタジー路線で、プレイヤーはタイニー・ティナが主宰するTRPG「Bunkers & Badasses」の世界を冒険します。自作キャラクターで魔法と銃を駆使し、ドラゴンロード率いる敵と戦うというユーモラスな物語。セルシェーディングの基本はそのままに、ドラゴンやユニコーンなどファンタジー要素が満載。テーブルトーク風のワールドマップや、「第四の壁」を破るギャグも健在です。

従来作と直接の繋がりがない分、純粋にゲームプレイとパロディを楽しめる構成。既存ファンだけでなく、新規層も取り込み、シリーズの柔軟性と可能性を示しました。

Borderlands 4(2025)― シリーズ新章の幕開け

Borderlands 4(2025)のゲームスクリーンショット。新惑星カイロスと未来的なデザイン
Borderlands 4(2025)では、シリーズらしいコミック調ビジュアルと最新技術が融合

『Borderlands 4』(2025)は、前作から6年ぶりの本編最新作。新たな惑星「カイロス」を舞台に、タイムキーパーと呼ばれる独裁者へのレジスタンスが描かれます。プレイヤーは新キャラクターのヴォルトハンターとなり、革命の渦中に巻き込まれていきます。Unreal Engine 5で実現したシームレスな広大マップ、縦横無尽な移動、さらなる武器バリエーションなど、シリーズ史上最大の規模と技術革新が特徴。従来の明るい色彩やグロテスクな敵デザインはそのままに、ストーリーはややダークでカオティックな雰囲気も加わりました。

開発陣は「ジョークがゲームプレイやキャラクターの反応から自然に生まれる」ことを重視し、シリーズらしいウィットとパロディも健在。新たな世界観とストーリーで、初めてのプレイヤーにもベテランにも魅力ある内容となっています。最新作は、過去作の良さを受け継ぎつつ、新時代のBorderlandsへと進化しています。


2009年の斬新な実験作から始まり、数々のスピンオフや数百万人のファンを抱えるメディアフランチャイズへと発展したBorderlands。その唯一無二の爆発的ゲームプレイ、コミック調ビジュアル、ポップカルチャーを皮肉った語り口は、今なお多くのプレイヤーを魅了し続けています。Borderlandsシリーズがたどった進化の道のりは、他の大作ゲームにも共通するものです。例えば、『ウィッチャー』シリーズの起源から最新作Polarisに至る進化をまとめた特集もあわせてご覧ください。

ウィッチャーシリーズの進化と伝説を徹底解説した記事はこちら

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