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PCIe 6.0とは?最新規格の特徴・速度・用途を徹底解説【2024年版】

PCIe 6.0はPCIe 5.0の2倍の速度を持つ次世代インターフェースです。サーバーやデータセンター、AI、NVMe SSD、ビデオカードなどの性能向上に欠かせない技術で、今後のパソコンやストレージの未来を支えます。特徴や登場時期、従来世代との違いも分かりやすく解説します。

2025年9月23日
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PCIe 6.0とは?最新規格の特徴・速度・用途を徹底解説【2024年版】

PCIe 6.0は、最新のコンピューターでプロセッサー、ビデオカード、SSDなどの間でデータをやり取りするための主要なインターフェースであり、従来世代よりもはるかに高速なデータ転送を実現します。パソコンの進化とともに、PCI Express(PCIe)は各世代で帯域幅を拡大し、ビデオカードやSSDのパフォーマンス向上を支えてきました。2021~2022年にはPCIe 5.0が普及し始め、今、次世代のPCIe 6.0が到来しつつあります。

なぜPCIe 6.0が重要なのか?

  • ビデオカードの処理能力が飛躍的に向上し、より大きな帯域幅が不可欠になっています。
  • NVMe SSDはすでにPCIe 4.0や5.0の限界に達しつつあります。
  • サーバーやデータセンターでは膨大なデータ処理のため、新しいバス規格が必要です。

つまり、PCIe 6.0は単なる「新世代」ではなく、データ伝送速度が倍増し、ストレージ・処理・通信の未来を切り拓く技術基盤です。

PCIe 6.0とは?分かりやすく解説

定義

PCI Express 6.0(PCIe 6.0)は、コンピューター内部でCPUとビデオカード、SSD、ネットワークカードなどを接続するための最新インターフェースです。簡単に言えば、

  • PCIe 5.0は「32レーンの高速道路」で、1レーンあたり最大32 GT/s(ギガトランスファー/秒)です。
  • PCIe 6.0は同じ高速道路を2倍の速度、つまり64 GT/s・最大256 GB/s(x16構成時)で走れるようにしたものです。

イメージで理解するPCIe 6.0

CPUとビデオカードがデータを「自動車のように」やり取りしていると想像してください。

  • PCIe 5.0では広くて速い道路ですが、限界があります。
  • PCIe 6.0では、道路自体は同じでも新しい信号方式(PAM4)により、同じ本数の車線で「1秒あたりより多くの車」を通せます。

つまり、コネクタ形状を変えずに2倍の速度を実現できるのです。

PCIe 6.0の主な特徴

  • 転送速度:1レーンあたり最大64 GT/s
  • 帯域幅:x16で最大256 GB/s
  • 信号方式:PAM4(従来の2レベルから4レベルへ)
  • 下位互換性:PCIe 5.0や4.0のデバイスとも動作
  • 主な用途:サーバー、データセンター、AIアクセラレーター、今後は高性能ビデオカードやSSDにも

PCIe 6.0の登場時期

  • サーバー向けプラットフォーム(Intel Xeon、AMD EPYC)は2024~2025年に登場予定
  • 一般向けデスクトップPC(CPU・マザーボード)は2026~2027年ごろに普及見込み
  • ビデオカードやSSDの対応モデルは順次登場。コントローラーの最適化が必要なため少し遅れる見込み

PCIe 6.0は、PCIe 5.0の2倍の速度と完全な下位互換性を備えた新スタンダード。今後のビデオカード・SSD・サーバー技術の基盤となります。

PCIe 6.0の速度と帯域幅

PCIe 6.0の最大の進化は、PCIe 5.0からのスピード倍増です。

  • PCIe 5.0では1レーンあたり最大32 GT/s
  • PCIe 6.0では同64 GT/s
  • x16構成の場合、PCIe 5.0は128 GB/s(双方向合計)、PCIe 6.0は256 GB/s

つまり、同じレーン数でもビデオカードやSSDがCPUと2倍速でデータ交換できるようになります。サーバーやデータセンターではペタバイト級のデータ転送が必須のため、この進化は特に重要です。一般PCでも次世代NVMe SSDやハイエンドビデオカードでその差を体感できるでしょう。

PCIe 6.0とPCIe 5.0の違い

PAM4による新しい信号方式

PCIe 5.0は2値(0/1)信号(NRZ)で通信していました。PCIe 6.0はPAM4という方式を導入し、1信号で4つの状態を表現できるようになりました。これにより、レーン数を増やさずに1クロックあたりの伝送量が増加します。例えるなら、単純な二進法の会話から、より表現力豊かな言語に進化したイメージです。

物理レーン数を増やさず伝送量アップ

PCIe 6.0はx1、x4、x8、x16など既存のレーン構成を維持しつつ、PAM4信号で各レーンのデータ量を倍増。コネクタや基板設計を変えずに帯域幅が2倍になりました。

下位互換性

従来通り、PCIe 6.0は5.0や4.0など旧世代デバイスと互換性があります。

  • PCIe 6.0スロットにPCIe 5.0や4.0デバイスを挿しても動作する
  • ただし、速度はデバイス側の世代に依存
この互換性により、マザーボードやCPUを新規導入しても、周辺機器を一度に全て買い替える必要はありません。

どこで恩恵が大きいか

  • ビデオカード:GPUとCPU間の帯域増加はプロフェッショナル向けやAI用途で特に重要
  • NVMe SSD:20~25 GB/s超の転送速度が現実に
  • サーバー・データセンター:大容量データ処理時のレイテンシ・消費電力低減

PCIe 6.0は「単なる高速化」ではなく、次世代の信号伝送方式への進化です。これにより、今後のハードウェアはバスの制約を受けず、その性能を最大限発揮できるようになります。

PCIe 6.0とビデオカード

ビデオカードは帯域幅をもっとも消費するパーツです。GPUが高性能化するほど、CPUやメモリとの高速通信が必要になります。

  • 現行のゲーミングGPUはPCIe 4.0でも頭打ちになっていませんが、プロ向けやAI用途のGPUはPCIe 4.0/5.0の壁に直面しています。
  • 次世代ゲーミングGPU(RTX 5000、Radeon RX 9000など)は、生成AIや高精細リアルタイムレンダリングに備えPCIe 6.0対応が期待されます。
  • サーバー用アクセラレーター(NVIDIA H100、AMD Instinct、Intel Habanaなど)が最初にPCIe 6.0へ移行するでしょう。

一般のゲーマー向けにはPCIe 6.0対応GPUはすぐには必要ありませんが、プロ用途やデータセンターでは極めて重要なアップデートです。

PCIe 6.0とSSD

ビデオカード以上に、NVMe SSDは既にPCIe 4.0/5.0の速度上限に達しています。

  • PCIe 4.0 SSD:最大7 GB/s
  • PCIe 5.0 SSD:最大12~14 GB/s
  • PCIe 6.0 SSD:20~25 GB/s超の時代へ

これにより、

  • サーバー・クラウド環境では、SSDがデータベース処理のボトルネックにならなくなります。
  • 一般PCでもソフトやゲームの爆速起動が実現。
  • 8K動画やVR、AIなど重いコンテンツの大容量ファイル処理も格段に快適に。

大量普及する最初のPCIe 6.0デバイスはSSDになると見込まれ、2~3年以内にサーバー用、続いて一般向けにも登場するでしょう。

PCIe 6.0とCPU

この新規格を活かすには、CPUやチップセット側の対応が不可欠です。CPUがPCIeのレーン数・世代を決めているためです。

  • Intel:サーバー向けXeon Granite Rapidsが2025年にPCIe 6.0を初採用予定。デスクトップ向けは2026~2027年以降に本格化。
  • AMD:EPYC Turin(Zen 5c)が最速でPCIe 6.0対応、Ryzenシリーズも追随。
  • ARM/RISC-V:一部サーバー向けでPCIe 6.0統合計画あり。

つまり、サーバー用CPUが最初の主要導入先となり、デスクトップCPUはGPUやSSDの普及後に広まるという流れです。

PCIe 6.0とマザーボード

マザーボードは新規格の受け皿。CPUが対応していても、マザーボードが非対応なら意味がありません。

  • サーバー向けチップセットはすでにPCIe 6.0対応が進行中。
  • 一般向けは対応CPUの普及に合わせて2026年以降が主流に。
  • ASUS、MSI、Gigabyte、ASRockなど大手メーカーは、ハイエンドゲーミングやワークステーション用途でPCIe 6.0対応を強化するでしょう。

PCIeは下位互換性を維持しているため、PCIe 6.0マザーボードに旧世代のビデオカードやSSDを装着しても問題なく動作します。新規格へのスムーズな移行が可能です。

PCIe 6.0が活躍する分野

サーバー・データセンター

クラウドサービス、検索エンジン、SNS、ストリーミングなどは日々ペタバイト級のデータを処理しています。ここでの遅延や帯域不足は膨大な損失に直結します。PCIe 6.0はCPU・GPU・FPGA・ストレージ間のデータ交換を高速化し、ビッグデータ解析、クラウドコンピューティング、分散ストレージに威力を発揮します。

AI・機械学習

ニューラルネットワークではCPUとGPU間で膨大なデータ交換が必要です。現状、PCIeがしばしばボトルネックとなっていますが、PCIe 6.0によりモデル学習の高速化、GPU利用効率の向上、消費電力削減が実現します。

ネットワークカード・通信分野

5Gや将来の6Gネットワークは、超低遅延・超高速データ転送が求められます。Ethernet 400G以上の高速NICもPCIe 6.0経由でシステムやルーターと接続されます。

科学研究・スーパーコンピュータ

高エネルギー物理、気候シミュレーション、ゲノム解析など、超大規模データ処理が不可欠な分野でも、PCIe 6.0は新たなHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)基盤となります。

まとめ

PCIe 6.0は、PCIe 5.0と比べて帯域幅を2倍に拡大し、PAM4技術による高密度伝送と下位互換性を両立した次世代インターフェースです。普及は段階的で、まずSSDやサーバーCPU、次いでビデオカードやハイエンドマザーボードで広がる見通しです。

PCIe 4.0・5.0がゲーマーやプロ向けの標準となった今、PCIe 6.0はまずデータセンターやAI、スーパーコンピューター向けに開発が進み、その後一般PCにも波及していくでしょう。

よくある質問(FAQ)

PCIe 6.0とは簡単に言うと?
CPU・ビデオカード・SSDがPCIe 5.0の2倍速でデータ交換できる新世代インターフェースです。
PCIe 6.0とPCIe 5.0の違いは?
PAM4信号方式を採用し、データ転送速度を2倍、x16で最大256GB/sを実現しました。
最初にPCIe 6.0に対応する機器は?
サーバー向けCPU、プロフェッショナルGPU、データセンター用NVMe SSDです。
私のマザーボードはPCIe 6.0に対応していますか?
現時点では未対応です。2025~2026年以降、対応マザーボードが登場予定です。
ゲーマーにPCIe 6.0は必要?
今のところ不要です。最新GPUでもPCIe 4.0の能力を使い切っていませんが、SSDや将来のGPUには不可欠な技術となるでしょう。

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