ウィートストンブリッジは、微小な抵抗変化の高精度測定に優れた電気回路です。構造や動作原理、計算方法、感度に影響する要素、電子はかりや圧力センサーなどの活用例まで詳しく解説します。計測やセンサー応用の基礎知識としておすすめです。
ウィートストンブリッジは、抵抗値の正確な測定や微小な変化の検出に特化した電気回路です。4つの抵抗要素から構成され、2つの枝回路の電圧を比較できるように配線されています。
ウィートストンブリッジの最大の特徴は、わずかな抵抗変化でも発生する電位差を検出できる点です。そのため、電子はかりや圧力センサー、各種計測機器、産業用オートメーションシステムで広く利用されています。
ウィートストンブリッジは、2本の並列回路にそれぞれ2つの抵抗を直列に接続した、計4つの抵抗から成る電気回路です。各枝の中間点から計測電圧が取り出されます。
4つのうち1つは未知の抵抗値で、これを測定対象とします。センサー用途では、圧力や変形などで抵抗が変化する感応素子を使うことも多いです。
このような橋型回路では、2つの枝の電気特性を比較することで、通常のオームメーターでは測定困難な微小な変化も高精度に検出できます。
両枝の抵抗比率が等しければ中間点の電位も等しくなり、電位差は0になります。一方、どちらかの抵抗値が変化するとバランスが崩れ、中間点間に電位差が発生します。これがウィートストンブリッジの基本原理です。
ウィートストンブリッジは、2つの並列回路の中間点電圧を比較する仕組みです。各枝は電圧分圧器となり、計測機器が両中間点間の電位差を記録します。
ウィートストンブリッジのバランス条件は、R1・R2が第一枝、R3・R4が第二枝の場合、次の式で表されます:
R₁ / R₂ = R₃ / R₄
この条件を満たすと中間点間の電位差は0です。たとえば全抵抗が100Ωならバランスですが、R1が101Ωになるとバランスが崩れ、微小な出力電圧が発生します。
抵抗比率の変化が大きいほど出力信号も大きくなり、電源電圧や抵抗値も出力に影響します。この特性により、未知の抵抗測定だけでなく、センサーの微細な変化も電気信号として検出できます。
ウィートストンブリッジでは、2枝の抵抗比を使って未知抵抗を算出します。
R₁ × R₄ = R₂ × R₃
未知抵抗がR4の場合、式は次のように変形できます:
R₄ = (R₂ × R₃) / R₁
残り3つの抵抗値が分かれば、計測機器の電位差が0になるように調整し、未知抵抗を算出できます。
式に代入すると:
R₄ = (200 × 150) / 100 = 300 Ω
R4が300Ωであればバランスし、中間点間電位差は0になります。
抵抗変化測定時には、出力電圧の計算式も重要です:
Uout = Usupply × [R₂/(R₁+R₂) - R₄/(R₃+R₄)]
ここでUsupplyは電源電圧、Uoutは枝の中間点間の電位差です。バランスが崩れるとUoutが0でなくなり、微小な抵抗変化も電気信号として捉えられます。
ウィートストンブリッジは、通常のテスターでは測りづらいわずかな抵抗変化も検出できます。絶対値ではなく、2つの枝の電位差として変化を捉えます。
たとえばセンサー抵抗が100Ωから100.1Ωへ0.1%だけ増加した場合でも、バランスは崩れ、測定可能な電気信号が生じます。電源5V、他の3抵抗が100Ωの場合、出力電圧は約1.25mVとなります。この微小信号は、電子回路で増幅・処理が可能です。
極めて微弱な信号を扱う場合は、インスツルメンテーションアンプやA/Dコンバーターを使用して信号を増幅・デジタル化します。また、温度補償やキャリブレーションを併用することで、外部環境による影響を最小限に抑えられます。
ウィートストンブリッジは、物理的な力で発生する微小な電気抵抗変化を高精度に検出できるため、計測用電子回路で広く用いられています。得られた電位差は電子機器で信号処理されます。
特に電子はかりでは、複数のひずみゲージを用いた全橋回路が一般的で、出力信号が増加し温度影響の補償効果も得られます。
機械的荷重を電気信号に変換する仕組みについては、「電子はかりのひずみゲージの仕組みと測定精度」で詳しく解説しています。
ウィートストンブリッジは、2系統の電圧比較とバランスの崩れを利用して、抵抗値の正確な測定や微小な変化の検出を実現するシンプルな電気回路です。未知抵抗の特定にはバランス調整法、センサー応用には出力電圧の測定法が用いられ、電子はかりやひずみ測定、圧力センサー、産業計測機器など幅広い分野で活躍しています。