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Baldur's Gate完全年表:伝説RPGシリーズの歴史と進化

Baldur's Gateシリーズの誕生から現代までの歩みを年表形式で徹底解説。名作RPGの進化やスピンオフ、リマスター、そして『Baldur's Gate 3』の大ヒットまで、シリーズの魅力と変遷を詳しく紹介します。世代を超えて愛される理由や、パーティRPGの金字塔となった背景も解説。

2025年10月21日
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Baldur's Gate完全年表:伝説RPGシリーズの歴史と進化

Baldur's Gateは、RPGの伝説として長年にわたり愛されてきた名作シリーズです。1990年代末、コンピュータRPGの復興を牽引した本作は、2023年の『Baldur's Gate 3』で華々しい復活を遂げました。ここでは、シリーズの誕生から現代の蘇りまで、その軌跡を年表形式で振り返ります。

Baldur's Gate(1998):伝説の始まり

1998年に発売された初代Baldur's Gateのゲーム画面

1998年12月、カナダの新興スタジオBioWareが初のRPGとして開発した『Baldur's Gate』がPC向けに登場。Interplay(Black Isle Studios傘下)の協力のもと、Advanced Dungeons & Dragons 2nd Editionのルールを忠実に再現し、プレイヤーは自らの英雄を作成して、ファンタジー世界「フォーゴトン・レルムズ(ソード・コースト地域)」を冒険できました。

広大なマップを自由に探索し、多彩な仲間と出会いながら名声を築くゲームデザインは、当時として革新的。戦闘はリアルタイム+ポーズ式で、状況ごとに戦略を立てやすいのが特徴です。Infinity Engineという独自エンジンにより、美麗な2D背景とスプライトキャラクター、複雑なD&Dのルール自動処理を実現。後の『Planescape: Torment』や『Icewind Dale』も同エンジンを採用し、クラシックRPG復興の礎となりました。

発売直後から大きな反響を呼び、深いストーリーや充実した会話、快適なインターフェースが高く評価されました。1999年6月には公式拡張パック『Tales of the Sword Coast』もリリースされ、冒険の幅がさらに広がりました。

Baldur's Gate II: Shadows of Amn(2000):クラシックRPGの頂点

Baldur's Gate II: Shadows of Amnのゲームプレイ画面

初代の大成功を受け、2000年秋にはさらに野心的な続編『Baldur's Gate II: Shadows of Amn』が登場。舞台は南方のアムン王国とアスカトラ市へ移り、前作主人公の物語が続きます。Infinity Engineはプレイヤーの要望を反映して大幅に改良され、より広大で自由度の高い世界、複雑な分岐ストーリー、多彩な仲間とサブクエストが加わりました。

戦闘は引き続きリアルタイム+ポーズ方式で、操作性や演出も進化。D&Dのルール(AD&D 2nd Edition)に準拠しつつ、自動でダイスロールやスキル判定を処理します。「バールの末裔サーガ」と呼ばれる壮大な物語では、強大な魔術師アイレニカスとの対決や、数々のドラマと倫理的選択が展開。プレスからは「史上最高のRPG」と絶賛され、2000~2001年には多数の年間最優秀RPG賞を獲得。商業的にも成功し、シリーズ累計500万本近いセールスを記録しました。

2001年にはエピックな最終章『Throne of Bhaal』もリリースされ、クラシックな二部作は完結。以後、BioWareは他のプロジェクト(『Neverwinter Nights』『Star Wars: KOTOR』など)に注力し、Baldur's Gateシリーズは長い眠りにつきます。

BioWare・Black IsleとInfinity Engineの遺産

初期Baldur's Gateは、BioWareの革新的な開発力と、Black Isle Studios(Interplay傘下)のプロデュース・世界観監修が生んだ結晶です。特にInfinity Engineは、アイソメトリックRPG制作を容易にし、『Planescape: Torment』『Icewind Dale』などの名作も生み出しました。これにより、1990年代末~2000年代初頭の「黄金時代」RPG群の基盤が築かれました。

その後、BioWareは『Neverwinter Nights』用のAurora Engineへと移行。Black Isle Studiosは親会社Interplayの財政難により2003年に閉鎖されましたが、Infinity Engine作品は今も多くのファンに愛され、オープンソース実装(GemRBなど)やMOD開発の土台となっています。

コンソール向けスピンオフ:Dark Allianceシリーズ(2001~2004)

Baldur's Gate: Dark AllianceのアクションRPG画面

InterplayはBaldur's Gateの人気を活かし、コンソール市場向けに『Baldur's Gate: Dark Alliance』シリーズを展開。従来と違い、三人称視点のアクションRPG(ハック&スラッシュ寄り)で、協力プレイが主軸です。2001年、Snowblind Studios開発・Black Isle発行でPS2とXboxに登場(後にGC・GBAへも移植)。新たな物語とD&D第3版ルールを導入し、シリーズ初のリアルタイムD&Dアクションを実現しました。

3人のヒーロー(弓使い、戦士、魔法使い)から選択し、分割画面で協力プレイが可能。高評価と「最優秀コンソールRPG」賞を受賞し、2004年には続編『Dark Alliance II』も登場。Black Isle自身が開発を手がけ、クラスやプレイ幅が拡大しましたが、Interplayの経営悪化で第3作は企画中止。それでも、アーケード性の高いスピンオフとして多くの家庭用ユーザーにBaldur's Gateの世界観を広めました。

Dungeons & Dragons: Dark Alliance(2021)のゲーム画面

その後もブランドは受け継がれ、2021年にはTuque Games開発・Wizards of the Coast発行の『Dungeons & Dragons: Dark Alliance』がリリース。物語の舞台はアイスウィンド・デイル、主人公はR.A.サルバトーレ原作のダークエルフ、ドリッズト・ドゥアーデン一行。最大4人協力プレイ対応の現代型アクションRPGですが、評価は賛否両論となり、2025年にオンラインサービス終了。それでも、Dark AllianceはBaldur's Gateの重要な遺産として認知されています。

クラシック復活:Enhanced Editionと新規拡張

Baldur's Gate: Enhanced Editionのタイトル画面

2012年、カナダのBeamdog(BioWare創業メンバーのトレント・オスター設立)が『Baldur's Gate: Enhanced Edition』を現代向けにリマスター発売。オリジナルと拡張『Tales of the Sword Coast』に加え、新たな仲間やクエストも追加。Infinity Engineを強化し、高解像度・ワイド画面・最新OSに対応しました。Windows/iOS版に続き、macOS・Android・PS4・Xbox One・Switchへも移植され、世代を超えて新たなファンを獲得しました。

2013年には『Baldur's Gate II: Enhanced Edition』が登場。『Shadows of Amn』『Throne of Bhaal』を一体化し、新クエスト・改良UIを追加。さらにBeamdogは完全新作拡張『Siege of Dragonspear』(2016)を開発し、BG1とBG2間の空白を埋める新章を提供。約30時間分の冒険で、旧友や新たな仲間と共に北方ドラゴンスピア城へ挑みます。評価は賛否両論でしたが、シリーズへの熱意と関心の高さを証明しました。

これらリマスターにより、Baldur's Gateは現代に蘇生。新旧世代のプレイヤーが名作RPGを気軽に体験でき、MODやマルチプレイのサポートでコミュニティも活性化。Beamdogのリメイクは、シリーズ完全復活の土壌を築きました。

Baldur's Gate 3(2023):伝説の帰還

Baldur's Gate 3の最新3Dグラフィックとキャラクターたち

前作から実に四半世紀を経て、シリーズ正統続編『Baldur's Gate 3』が登場。開発は『Divinity: Original Sin』シリーズで知られるベルギーのLarian Studiosが担当し、Wizards of the Coastから公式ライセンスを受けています。2019年発表、2023年8月にPC、続いてPS5・macOS・Xbox Series X/Sにも展開されました。

最大の変化は、戦闘がリアルタイム+ポーズからD&D第5版準拠の完全ターン制に進化した点。各ターンごとに行動を選び、戦略性と臨場感が大幅アップ。パーティー人数は4名に絞られたものの、仲間の個性やストーリーはかつてない深さに。Larian独自の最新3Dエンジンで、映画のような演出や会話シーンも実現。種族・クラス・過去の選択によってセリフやイベントが変化し、D&Dらしい自由度と分岐の多様さを極めています。

物語はBG2から120年後(1492DR)で、前作からの世界観やキャラクターの子孫も登場。主人公はイリシッド(マインド・フレイヤー)に寄生された生存者として目覚め、同じく感染した仲間(ラエゼル、シャドウハート、アスタリオン、ゲイル、ウィル、カーラッハ)と共に、呪いの解決を目指します。プレイヤーの行動が物語を大きく左右し、善悪の選択や交渉、潜入など多様な攻略法が可能です。卓上D&Dの精神が見事に再現され、まさに「物語の共作者」としてプレイできます。

発売後、Baldur's Gate 3は世界中で絶賛されました。膨大なコンテンツ、圧倒的な自由度、緻密なストーリーとキャラクターが高く評価され、歴代RPGでも屈指の高評価を記録。「ゴールデン・ジョイスティック」「The Game Awards」「D.I.C.E.」「GDC Awards」「BAFTA」など5大ゲームアワードで同時に「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。売上も1,000万本を突破し、RPGジャンルの新たな金字塔となりました。

まとめ

Baldur's Gateは、90年代末のクラシック二部作によるRPGジャンルの復活から、現代の大ヒット作への進化まで、数十年にわたり伝説的な地位を築いてきました。BioWareとBlack IsleによるInfinity Engine作品は、パーティ制RPGの基準を作り、後続に多大な影響を与えました。長い空白期間もリマスターやスピンオフ、そしてLarian Studiosによる『Baldur's Gate 3』で再び脚光を浴び、深い物語・多様な選択・フォーゴトン・レルムズの世界観は現代にも受け継がれています。

その圧倒的な成功は、Baldur's Gateが今なおRPGジャンルの品質と革新の象徴であり、世代を超えてプレイヤーを魅了し続けていることを証明しました。シリーズの歴史は、名作が時代を超えて蘇り、新たな冒険者たちにファンタジー世界での偉業を促す力強い証となっています。

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