フレーム生成は、ゲーム映像の間に中間フレームを追加し、FPSを向上させる最新技術です。DLSSやFSRなど主要な方式の違いも解説し、メリット・デメリットや最適な活用法、入力遅延への影響まで詳しくまとめます。高リフレッシュレート環境での映像体験を劇的に変えるフレーム生成の仕組みを理解しましょう。
フレーム生成(Frame Generation)は、ゲームにおける映像フレームの間に中間フレームを生成し、すべての追加フレームを完全にレンダリングすることなく、FPS(フレームレート)を向上させる技術です。ゲームエンジンやグラフィックカードがゼロからシーンを計算する代わりに、既存のフレーム間に新しい画像を作り出します。
通常のレンダリングでは、各フレームはゲームエンジンを経由して完全に作成されます。CPUがキャラクターの位置や物理演算、アニメーションなどを計算し、グラフィックカードが最終画像を描画します。例えば60FPSの場合、1秒間に約60枚のフレームが生成されます。
一方、フレーム生成は既に描画された画像を元に、その間に中間フレームを作り出します。これにより、ゲームエンジンの負荷が増えないまま、1秒あたりに表示されるフレーム数が増加し、映像の動きがより滑らかに見えるようになります。
通常フレームは、ゲームの最新状態に基づいています。一方、生成されたフレームは、前後のフレーム情報やオブジェクトの動きからアルゴリズムが推測して作成します。
例えば、連続する2つのフレームで車が左から右に動いている場合、フレーム生成では車が中間地点にある画像を合成します。しかし、実際にはカメラやキャラクター、パーティクル、ライティングなど複数の要素が同時に動いており、生成には高度な動き情報や画像解析アルゴリズムが必要です。
FPSカウンターは、1秒間に画面へ表示されたフレームの数を示しています。生成フレームでもカウントされるため、表示上は大幅なFPS向上が見込めます。特に高リフレッシュレートのモニターでは、動きの滑らかさが大きく改善されます。
ただし、ゲームエンジン自体の計算頻度が上がるわけではないため、操作レスポンスが同じだけ改善されるとは限りません。フレーム生成は主に映像の滑らかさを重視する技術です。
単純に2枚の画像を重ね合わせるだけでは、オブジェクトが二重に見えるなどのアーティファクトが発生します。そのため、フレーム生成ではシーン内の動きを解析し、各オブジェクトが中間時点でどこにあるべきかを推測します。
主な情報源はモーションベクトルです。これは、オブジェクトやカメラが隣り合うフレーム間でどのように動いたかを示します。ゲームエンジンから渡され、グラフィックカードやAIがさらに画像解析を行い、動きや輪郭、テクスチャの変化を検出します。
特に、壁の後ろから突然現れるオブジェクトや、透明効果、複雑なパーティクルなどには高度な処理が必要です。システムが動きや速度を正確に理解できれば、より自然な中間フレームを生成できます。
2つの連続した実フレーム間で、キャラクターや背景などの動きデータを解析し、各要素の中間位置を計算します。得られた情報から新たな画像を作成し、"フレーム1 → 生成フレーム → フレーム2" のような流れに挿入します。
この処理は非常に高速で行う必要があり、遅延が増えると高FPSのメリットが薄れます。そのため、最新のフレーム生成はグラフィックパイプラインに深く統合され、リアルタイム性が重視されています。
60FPSで動作しているゲームに生成フレームを加えて120FPSにしても、ゲームエンジンが計算する世界の状態は60回/秒のままです。そのため、Frame Generationによる120FPSと、本来の120FPSでは、操作のレスポンスや滑らかさに違いが生じます。
特に低FPS時(例:25~30FPS)では、生成フレームで映像が滑らかに見えても、操作の遅延や応答性には限界があります。
DLSS Frame GenerationはNVIDIAのDLSSエコシステムの一部で、GeForce RTX対応のグラフィックカードで利用できます。2つの連続フレームやシーンの動き情報を解析し、中間フレームを生成します。
ゲームエンジンの動きデータや、専用ハードウェアのOptical Flow Acceleratorを活用し、カメラやキャラクターの複雑な動きにも対応します。DLSSによるアップスケーリングと併用されることが多く、ベース解像度を下げてから高解像度へ復元し、その間にフレーム生成を挟むことで、FPSを大幅に向上させることが可能です。
DLSSのスケーリング原理について詳しく知りたい方は、「DLSSとは?NVIDIAのAI技術によるゲームパフォーマンスの仕組み」をご覧ください。
AMDはFidelityFX Super Resolution(FSR)内でフレーム生成を実装しています。FSR Frame Generationは、動き情報やシーンの変化を解析し、中間フレームを生成します。AMDの特徴は幅広いハードウェア互換性で、複数メーカーのGPUでも動作可能です。
FSRアップスケーリングと組み合わせて使えますが、両者は別の処理段階です。FSRフレーム生成では、ゲーム側から正確な動きや深度データが提供されるほど、高品質な中間フレームを生成できます。
DLSS 3とFSR 3の違いについてさらに知りたい方は、「FSR 3 vs DLSS 3:2025年のゲーミングに最適なのは?」も参考にしてください。
AMD Fluid Motion Framesはドライバーベースのフレーム生成技術で、ゲームエンジンへの深い統合がなくても動作します。完成済みの画像を解析して中間フレームを生成するため、開発者による特別なサポートがなくても一部のゲームで利用できるのがメリットです。
ただし、ゲーム内の詳細な動きデータや深度情報が取得できないため、DLSSやFSRのフレーム生成ほど高精度ではありませんが、より多くのタイトルで利用できる柔軟性があります。
フレーム生成で表示FPSが増えても、ゲームの応答性が比例して向上するわけではありません。中間フレームは主に映像の滑らかさを向上させるもので、ゲームロジックの計算頻度には影響しません。
本来の120FPSでは8.3msごとに新しいゲーム状態が計算されますが、60FPS+フレーム生成で120FPSを実現した場合、ゲーム状態の更新は16.7msごとです。見た目は滑らかでも、操作入力の反映には違いがあります。
この差は特にシューターや対戦ゲームで顕著です。
中間フレーム生成には追加処理時間が必要なため、入力遅延の低減には直接つながりません。NVIDIAのReflexのような低遅延技術と組み合わせることで、全体の遅延を最小限に抑えることができます。
Reflexの仕組みについては、「NVIDIA Reflexとは?入力遅延を最小化するゲーミング技術」もご覧ください。
理想的には、ベースとなるFPSが十分高いときにフレーム生成を利用するのが最も効果的です。
ベースFPSが50〜70FPSなど十分高い場合や、レイトレーシングなどGPU負荷が高いシングルプレイゲーム、RPG、シミュレーションなどで特に効果的です。
対戦型シューターやベースFPSが極端に低い場合(20〜30FPS)、あるいは明らかなアーティファクトが頻発する場合は無理に利用しない方が良いでしょう。特に、入力遅延が重要なゲームではネイティブFPSの向上を優先しましょう。
フレーム生成はあくまで補助的な技術です。GPUやCPUがボトルネックの場合、根本的な解決にはなりません。まずは十分なベースパフォーマンスを確保し、そのうえで滑らかさを向上させる手段として活用しましょう。
フレーム生成は、各追加フレームを完全にレンダリングすることなく表示フレーム数を増やす技術です。グラフィックカードやアルゴリズムが、隣り合う実フレームや動きデータを解析して中間画像を生成します。
最大のメリットは、高解像度やレイトレーシングなど負荷の高い現代ゲームでも、滑らかな映像を実現できる点です。ただし、生成されたFPSはネイティブなFPSとは異なり、ゲームロジックや操作レスポンスの頻度は上がりません。
そのため、フレーム生成は20〜30FPSのゲームを劇的に改善する技術ではなく、快適なベースパフォーマンスを前提とした「滑らかさの向上ツール」として活用するのがベストです。ベースFPSが十分高ければ、画質を落とさずにより快適なゲーム体験が得られるでしょう。