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NVIDIA Tensor Cores徹底解説|仕組み・用途・性能のすべて

Tensor CoresはNVIDIAの最新GPUに搭載されたAI・行列演算専用の革新的コアです。その仕組みやCUDA/RTコアとの違い、DLSSやAI、プロフェッショナル分野での具体的な活用例、パフォーマンス向上の実態、今後の展望まで分かりやすく解説します。

2025年9月16日
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NVIDIA Tensor Cores徹底解説|仕組み・用途・性能のすべて

Tensor Cores(テンソルコア)は、NVIDIAの最新グラフィックボードに搭載されている革新的な機能です。従来のGPUは主に画像表示やゲームに使われてきましたが、今ではAI(人工知能)や科学計算、グラフィック制作など多岐にわたり活用されています。NVIDIAは機械学習技術の発展に合わせ、Voltaアーキテクチャ以降のGPUやRTXシリーズにTensor Coresを搭載し、グラフィックスプロセッサの可能性を大きく広げました。

Tensor Coresとは?分かりやすく解説

Tensor Coresとは、GPU内部にある専用の演算ユニットで、行列や多次元配列(テンソル)を高速に処理するために設計されています。

従来のGPUには数千ものCUDAコアが搭載されており、さまざまな計算を担当しています。一方、Tensor Coresは主に行列演算に特化しており、数値がテーブル状に並んだデータの掛け算や足し算を非常に高速に実行します。

  • CUDAコアは多様な作業をこなす「万能作業員」のような存在ですが、必ずしも全ての作業が効率的とは限りません。
  • Tensor Coresは特定の作業に特化した「専用機械」のようなもので、特定タスクを圧倒的な速度で処理します。

Tensor Coresの仕組み

Tensor Coresの最大の特徴は、行列演算の高速化です。

  • 行列の掛け算や加算を1クロックサイクルで実行できます。
  • 精度を抑えたフォーマット(FP16、INT8、INT4など)にも対応し、同時により多くのデータを処理可能です。
  • AIやグラフィック用途では銀行取引のような絶対的な精度が不要なため、高速化と品質のバランスが取れています。

この特徴により、Tensor Coresはニューラルネットワークや画像生成、AI技術を使ったゲーム、コンピュータビジョンといった分野に最適です。

Tensor Coresの主な用途

ゲーム分野での活用

Tensor Coresの代表的な用途が「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」です。

  • DLSSは、ゲームを低解像度で描画しつつ、AIによって高精細な映像へと補完します。
  • Tensor CoresがリアルタイムでAI演算を担い、画質を落とさずにフレームレート(FPS)を大幅に向上させます。

人工知能(AI)分野

Tensor Coresは以下のようなAIタスクの高速化に貢献します。

  • ニューラルネットワークのトレーニング
  • 音声認識
  • テキストや画像生成
  • 大規模言語モデルの処理

GPUが強力なAIアクセラレータへと進化する要因となっています。

プロフェッショナル分野

Tensor Coresは科学技術やエンジニアリングにも活用されています。

  • ビッグデータ解析
  • 物理シミュレーション
  • 天気予報のモデリング
  • 生物学・化学のシミュレーション

Tensor Cores・CUDAコア・RTコアの違い

Tensor Coresの役割をより深く理解するには、NVIDIAの他のコアとの違いを知ることが重要です。

  • CUDAコア:汎用的な演算ユニットで、主にグラフィックスや基本的な計算処理を担当
  • RTコア:レイトレーシング専用のコアで、リアルな光や影の表現を実現
  • Tensor Cores:行列演算やAI・ニューラルネットワーク向けの専用コア

これら3種のコアが連携し、RTXアーキテクチャの強みを発揮しています。

  • CUDAコアが「基本グラフィック処理」を担当
  • RTコアが「リアルな光表現」を実現
  • Tensor Coresが「AIやDLSSなどの高速演算」を加速

Tensor Coresのパフォーマンス

Tensor Coresの導入によって、実際のパフォーマンスも大きく向上しています。

  • DLSS対応ゲームでは、従来レンダリングと比べてFPSが30〜50%向上する例も多数。
  • 機械学習タスクでは、速度が数十倍に達することもあります。
  • 3Dモデリングやレンダリングアプリでも、計算時間の短縮に貢献しています。

Tensor CoresはGPU内部の独立した演算リソースとして、他のコアと並行して処理を高速化します。

Tensor Coresの未来

新世代のNVIDIAグラフィックカードごとに、Tensor Coresはさらに高性能化しています。今後はゲームだけでなく、プロフェッショナル用途でも中心的な役割を担うでしょう。

  • ニューラルネットワークによる完全なフレーム生成など、DLSS技術のさらなる進化
  • AIによるグラフィック・アニメーションの品質向上が一般化
  • 科学・医療・工学分野での高速行列演算の新たな応用
  • クラウドサービスや大規模モデル学習との連携強化

Tensor Coresは一時的な技術革新ではなく、NVIDIAの最新GPUにおける長期的な標準機能だと言えるでしょう。

まとめ

Tensor Coresは、NVIDIAのGPU内部に搭載されたAI・行列演算専用のコアです。RTXアーキテクチャの重要な構成要素として、DLSSによる高画質・高FPSの実現や、AI・データ解析の高速化など、幅広い分野で新たな可能性を切り拓いています。

今後もAI活用が進むにつれ、Tensor Coresの重要性と利用範囲はますます拡大し、すべての最新NVIDIAグラフィックカードで標準的な機能となるでしょう。

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