シングルモードとマルチモード光ファイバーの物理的な違いや、仕組み、伝送距離、家庭向けの最適な選び方まで詳しく解説します。初心者でも理解しやすい比較表やFAQも掲載し、光ファイバー導入の疑問を解消します。
シングルモード光ファイバーとマルチモード光ファイバーは、現代の高速インターネット導入に欠かせない要素です。しかし、これらのケーブルは動作原理や利用シーンが大きく異なります。本記事では、物理的な違い、信号伝送距離、そして家庭向けに最適な光ファイバーの選び方について詳しく解説します。
光ファイバーの基盤には、髪の毛ほど細いガラスや石英の糸が使用されています。データは、プロバイダー側のレーザーや高出力LEDが発する光パルスとして、この透明なコアを通じて伝送されます。光は、異なる屈折率を持つ特殊なクラッド(被覆)に何度も反射しながら進みます。
この全反射効果により、光は外部へ拡散せず、ファイバー内部に閉じ込められます。詳しい物理現象やケーブルの構造については、「光ファイバーインターネットの仕組み」の記事もご覧ください。
構造の主な目的は、信号を損失なく長距離に届けることです。光がガラス内でどのように伝わるかはコアの太さに左右され、これがケーブルの分類基準となります。
光のモードとは、ファイバー内部を進む光線の経路を指します。たとえば、細いトンネルなら光は真っ直ぐ進み、広いトンネルでは様々な角度で反射しながら多様な経路をとります。コアの直径によって、この経路数が決まり、伝送能力や距離も影響を受けます。
シングルモード光ファイバーは、わずか8~10μmの極細コアを持ち、1本の光線のみを伝送します。このような細さゆえ、非常に精密なレーザーダイオードが必要となり、設備コストは高くなりますが、強力で集光性の高いビームを正確に伝送できます。
コア径が光の波長よりわずかに大きい程度なので、光はケーブル軸に沿って直進し、クラッドに反射する余地がありません。結果、内部反射による信号歪みがほとんど発生せず、長距離でもデータを高精度で伝送できます。
マルチモードファイバーは、50または62.5μmの広いコアを持ち、複数の光線(モード)を同時に通します。広いコアは、光源として安価なLEDやVCSELレーザーが利用できるため、ネットワーク構築コストを抑えられます。
主に建物内やデータセンター、企業LANなど短距離通信に使われます。
広いコアでは「モード分散」が発生しやすく、反射経路によって光の到達時間がズレます。近距離では問題ありませんが、距離が延びると信号が重なり合い、誤認識や伝送不能となります。また、反射回数増加により減衰も大きく、伝送距離は300~500m程度に制限されます。
| 特性 | シングルモード | マルチモード |
|---|---|---|
| コア径 | 8~10μm | 50/62.5μm |
| 光源 | 高精度レーザー | LEDまたはVCSEL |
| 伝送距離 | 最大100km以上 | 300~550m |
| ケーブルコスト | 低コスト | コア材量で高価 |
| 機器コスト | 高価 | 比較的安価 |
家庭用インターネットに最適なのはシングルモード光ファイバーです。都市ネットワークの構造や住宅と中継局との距離が長いことから、通信事業者は必ずシングルモードを採用しています。10km以上離れた住宅にも、マルチモードでは信号減衰が大きく現実的ではありません。
現在の家庭用インターネットはPON(パッシブ光ネットワーク)技術がベースとなっており、宅内まで電源不要の光分岐器(スプリッター)だけで構成されます。この仕組みには、線路全体での減衰の最小化が極めて重要です。詳細は「GPONとは?最新光インターネットの仕組みとFTTHの違い」をご参照ください。
シングルモードの細いコアはこの厳しい要件を満たし、集光レーザーが複数スプリッターを経ても安定したギガビット通信を可能にします。
2種類の光ファイバーの最大の物理的違いは、コア(伝送路)の太さです。シングルモードは極細コアでレーザー光を長距離・高精度に伝送でき、マルチモードはコスト面で有利ですが、距離が大きく制限されます。家庭向けインターネットには、信頼性・速度ともにシングルモードが最適な選択肢です。